肝疾患情報
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第5回 肝栄養フォーラム
血清アルブミンの多面的機能とその解析
惠良聖一先生
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岐阜大学大学院医学系研究科分子生理学分野 教授 惠良聖一先生
 
 血清蛋白質の構造に関する研究は、20世紀初頭にスウェーデンUppsala大学のSvedbergらによって始められた。彼は分析用の超遠心機を発明して、あらゆる蛋白質を分離観測した。また、彼の教え子であるTiseliusは、電気泳動装置を考案して蛋白質の解析を行った。彼らは後に、各々ノーベル化学賞を受賞している。それから1世紀が経過し、現在ではX線結晶構造解析法や高分解能NMR法によって、各種蛋白質の構造や機能が詳細に検討されている。アルブミンの生理機能は多彩であるが、本講演ではアルブミンのcarrier proteinとしての機能について概説する。
 
ヒトの血清アルブミンに存在する6つの特異的な結合サイト
 
 
(図1)ヒト血清アルブミンの構造とリガンドの結合サイト
※図表をクリックすると拡大表示します。
 ヒト血清アルブミンは、585個のアミノ酸からなる糖鎖などを持たない単純蛋白質であり、X線結晶構造解析法でみたその立体配置は70%がヘリックス構造をとり、残り30%はヘリックス同士を結びつける不規則な紐状構造からなっている。全体は非常に相同性の高い3つのドメイン(1つのドメインはアミノ酸数200個弱)で構成されており、各ドメインはさらにAとBの2つのサブドメインで構成される。N末端から34番目には非常に反応性の高いSH 基(Cys-34 と称する)が存在するほか、17 個のS─S結合を有することも大きな特徴である。
こうした構造に起因して、ヒト血清アルブミンは内因性の物質や、投与された薬物などと多岐にわたって結合する。リガンドとの結合サイトは、現在のところ16までの6つが知られている(図1)。
 結合サイトについては、Sudlowらが光学的な手法を用いて解析し、サブドメイン2Aにワーファリンなどの複素環式化合物が結合することを発見した(薬物結合サイト1)。この部位はワーファリン結合部位とも呼ばれており、ビリルビンなどもこれに結合すると考えられている。また彼らは、ベンゾジアゼピンなどの芳香族カルボン酸が、サブドメイン3Aに結合することも発見した(薬物結合サイト2)。このサイトにはベンゾジアゼピン以外にも、ジギトキシン、クロフィブレートなどが結合する。
次に、Carterらが、結合サイト34にはアルブミン1分子に対して約6個の脂肪酸が結合しており、結合サイ ト56には金属などが結合することを見いだした。特にサイト5は、N末端から34番目のSH基(Cys-34)に該当し、システインやグルタチオンを結合するほか、最近の研究では一酸化窒素なども結合する可能性が示唆され、注目を集めている。レドックス制御に関連するのも、このCys-34サイトである。
 
 
 
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